謎の古代史 ① キリスト教伝来秘聞。 ラームヤールとキリストの墓。

謎の古代史 ① キリスト教伝来秘聞。
ラームヤールとキリストの墓。                   

キリスト教の伝道がいつかと聞かれた人の殆どが、十六世紀と答えますよね! 天文十八年(1549)八月十五日、スペイン人宣教師フランシスコ・ザビエルが薩摩鹿児島へ上陸、キリスト教が我国に初めて伝わる。と、云う事になっていますが、実は七世紀から八世紀にかけて伝道していたんです。本当の話です。
 続日本紀は、天平八年(西暦736)に検唐副使中臣名代が三人の唐人と一人のペルシャ人を率いて聖武天皇に帰朝の挨拶をしたと伝えています。このペルシャ人はラームヤールと言い、玄宗皇帝から李密翳いという名を賜った景教の伝道師で医者でした。因みに玄宗皇帝は李姓なので大変気に入られていたようです。当時長安には大秦(恐らくローマを意味する)寺という景教の寺院が有りました。ラームヤールはその寺院の僧侶だったと思われます。緑の瓦と白壁の塔を持った大秦寺を根拠にして景教の伝道師達は北と東アジアに散っていったに違い有りません。
 景教というのはキリスト教ネストリウス派の中国での呼び名です。ネストリウスはキリストの神性は認めたものの、キリストを産んだマリアは人であると説いたため、三位一体説のローマ教会から破門されてペルシャやインドにに逃れました。ペルシャでマニ教やゾロアスター教などと同化しました。そして中国に伝わり、仏教や道教と同化しました。更に景教はモンゴルや渤海に伝わってかなり繁栄しました。景教の特徴の一つは花弁型の十字架に有ります、どこかで見たような気がしませんか? 家紋や瓦の模様などにありますよね。また、景教が東アジアに伝道した後、聖母マリアは観音菩薩に姿を変えています。日本に伝わっていたのは確かなんですが、中々見分けがつかないんです。

 さてラームヤール、聖武天皇の生母宮子の病を治しました。また、大仏開眼供養にも参加しています。それからは? どうやら二十年位は日本にいたらしいのですが、中国に帰ったのか、伝道の旅に出たのか、日本で亡くなったのかは分かっていません。
 ここからは私の推測ですが、日本各地を伝道していたのではないでしょうか? 天狗のモデルにもなったと思われます。日本各地のキリスト伝説の源にもなりました。

 景教は中国からの伝来の他に、渤海国から日本海を経て北陸から東北地方に伝来したルートが考えられます。渤海人、特に靺鞨(まっかつ)族(満州人の祖先)は度々日本海を渡って大和朝廷に帰化しています。
 天平十八年、千百人を越える渤海人(高句麗系朝鮮人)と鉄利人(鉄利府靺鞨族)が出羽に漂着して、大和朝廷から帰化を許されました。もしかしたら、この中に景教伝道師や景教信者がいたのかも知れませんね。ラームヤールと合流して新しい郷をみちのくの奥に開いたかも知れません。
 青森の奥入瀬にキリストの墓が有るという村が有ります。昔戸来(ヘブライの意味か?)と言った新郷村です。
 ゴルゴダで処刑されたのは弟のイキリスで、イエスキリストは日本に逃れ(伝説によれば帰って、ということになります。キリストは十二才から二十三才までを日本の越の国で過ごしたそうなのです)、天寿を全うして戸来郷に葬られたそうです。本当でしょうか? こんなものは墓を科学的に調査すれは真贋は明らかになるのですが、そうもいかないし、ロマンとして残しておいても良いのかも知れません。

 新郷村にこんな盆踊りが残っています。

 ナニャドヤ~ラ~
 ナニャドナサレ~ノ
 ナニャドヤ~ラ~

 神学博士・川守田英二氏はこの歌詞を古代ヘブライ語であるとし、次のように翻訳しています。

 御前の聖名を褒め讃えん
 汝の毛人を掃蕩して
 御前の聖名を褒め讃えん

 また民俗学者の柳田国男氏はこの唄はヘブライ語ではなく、異性への語りかけ、恋歌だとしています。

 なんなりとおやりなさい
 なんなりとなされませんか
 なんなりとおやりなさい

 どちらだとしてもおもしろいですよね!
 このキリストの墓にラームヤールが眠っていたとしたら? と私の妄想は膨らみます。考古学者か歴史学者の誰かが調べてくれるといいですね。

 もう二十年以上前になりますが、私が韓国に渤海の事を調べに行った時、世界一の渤海学者を紹介されてお会いした時の事です。
 半日程の長い時間、私の質問に丁寧に答えてくれた李教授。夕闇が迫る頃、反対に私に尋ねて来ました。景教の資料を見せながら「これは景教の瓦や十字架、そして観音菩薩に姿を借りた聖母マリア像ですが、日本で見たことが有りませんか?」と、その時初めて景教の事を私は知りました。この李教授ならば、あれから二十年以上経つのですから、色々と分かっているかも知れません。
 いよいよお別れの時間が迫り、私は最後の質問をしました。
「日本人と、朝鮮人と、満州人の嬰児を同じ環境で育てたとしたら、学者は見分けがつくんですか? 見分けられるとしたらどうやって?」
 教授は考え込んでしまいました。
 長い沈黙が流れ、熟慮を重ねてようやくむ口を開きました。
「見分けなんか誰にもつけられません」
 窓の外は完全に暮れていました。
 この三つの東アジアの人種は共に、中国東北地方の北、扶余という処を民族の起源としている同族なんです。見分けられるのは風習と環境が違うからなんです。

            2009.11.01   立花左近   

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